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ニコンが大幅減益

ニコン、最終益74%減に下方修正 映像事業は「さらに厳しい市場」に

D850のヒットで息を吹き返したかのように見えた時期もありましたが、一時的な現象だったようで、ニコンが大幅減益です。Zマウント自体はフランジバックが短く径が大きいという魅力的な仕様ではありますが、仕様を公開しなかったためサードパーティ製のレンズが乏しいのが致命的だと思います。中国系のメーカーがZマウント用のレンズをいくつか出しているようですが、タムロンとシグマがZマウント用のレンズを出さないのは大きい。とりわけ立ち上げた直後のレンズが少ない時期は致命的だと思います。本気でマウントの覇権を取りに行くのならば頭を下げてでも作ってもらうべきでしょう。

一方ソニーのFEマウントはもともとAPS-C用だったので径は小さく、技術的な面での魅力は薄めだと思いますが、いち早くフルサイズミラーレスにコミットしたために覇権を握りました。タムロンはもちろんLマウントアライアンスのシグマもソニーFEマウント用のレンズを作っていることから、もはやその地位は揺るぎないものだと思います。実際、操作性や堅牢性に難があるとはいえ、ボディの性能自体はピカイチですね。

ニコンZ6/Z7はファームウェアアップグレードでRAW(動画)に対応すると宣言したものの、未だに実現せずにSIGMA fpに先を越される始末。動画も撮るハイブリッドフォトグラファーの間でZマウントが普及する可能性は低そうです。いままで通りソニーとパナソニックを中心にまわっていきそうです。動画色が強い人はBlack Magic Designにも惹かれるでしょう。

キヤノンはEF、EF-M、RFと一社で3つのマウントをサポートしなければならないのが致命的です。EF-Mは潔くディスコンしてAPS-CミラーレスもRFに統一しない限り勝ち目はないでしょう。しかしそうすると一時的に大きな傷みを伴うので先送りにしている。ニコンがNikon 1をなかなかディスコンできなかったのと同じです。

こんな状況にあってニコンが取ることができる戦略とは? そのヒントは先日発売した58mm f/0.95あたりにありそうです。受注生産品とはいえ、あんな高額のレンズが瞬時で売り切れた訳で、一部に熱狂的な信者がいる。高級感を演出して利益率の高い商品をこういう人たちに売っていくしか無いのではないでしょうか? つまりLEICAのようなビジネスモデルです。日本のカメラメーカーでこういう売り方ができるのってニコンぐらいでしょう。キヤノンはコピー機とかも出しているので、高級感を演出するのがちょっと難しい。

「ヨーロッパはブランドを使って楽して儲けている」みたいな話をよく聞きますが、日本企業も生き残るためにはこの道を選ぶしか無いのではないでしょうか? 

MapCameraの買取価格にご注意

最近はワンプライス買取で対応する商品が増えたが、MapCameraは以前から極端に安くで買い取る商品があって、マウントアダプターなどもいまだにそのたぐいのようだ。

MapCameraで78000円で購入したMetabonesのNikon F→MFT x0.64 SpeedBoosterの買取価格を調べたら、なんと1500円。自分で78000円で売ったものを、たとえ美品でも1500円でしか買い取らないとか、いくらなんでも客をバカにしすぎだ。一体誰が売るんだろうか? 

ニッチな商品なので、あまりアクセスは期待できないけど、ヤフオクで売れるのを気長に待ちます。新品を8万弱で買うよりも、中古美品を6万程度で買いたいという人がきっといるはず。

初心者の頃はうっかり並品を格安で売ってしまってかなり損をした。当時はワンプライスがなかったので並品だと極端に安くなりました。

難有り品扱いされてしまう商品は、買取価格が極端に安くなるので、きちんと説明してヤフオク等でさばいたほうが遥かにお金になります。RX100M2も完動品で光学系にも問題がなかったのにも関わらず、小キズが多いという理由で、難有り品扱い。買取価格が1000円か2000円とか言われたので、ヤフオクで20000円前後で売りました。

日本人は異常に傷の類にこだわる人が多いけれど、完動品ならばそれでよし、という人も結構いるので、中古並品の3割引ぐらいにすれば売れます。てか、私もそういうの買います。ガンガン使っていれば小キズとかついて当然ですから。

Z6/Z7のProRes Rawサポートっていつ出るの?

NikonがファームウェアアップデートでProRes Rawの出力に対応すると発表してからすでに一年近くが経過している。が、いまだに出でいないらしい。あまりにも早く発表してしまうのはどうなのだろうか? DLシリーズのようなヴェイパーウェアになるのではないかとちょっと心配になる。最近のニコンはフライング発表が多く、ウェブサイトでは開発発表のカウントダウンをしたりしている。

一方、BlackMagic Designは開発発表も何もなく突然BMPCC 6Kを発売した。プレスリリース直後にはすでに店に並んでいるという徹底ぶり。スティーブ・ジョブズが生きていた頃のアップルに通じるような、粋なカッコよさがこの会社にはある。

開発発表というのは自分の手の内をみせることなので、こうやって出し抜かれるリスクもある。もっとも、出し抜かれたのはニコンと言うよりも、S1Hの開発発表をしてしまっていたPanasonicかもしれないが。

Zマウントは良い点もたくさんあるし、ニコンは動画のプロ機が無いので、将来的には本体でRAWを録画可能な機種もでるかもしれない。期待はしているのだが・・・ 開発発表のカウントダウンはダサいのでやめてほしい。

BlackMagicと提携してBRAWを使えるようになったら面白いんですけどね。

愛国買いという愚行

「愛国買い」というのは私が勝手にそう呼んでいるだけで、正しくはなんと表現するのか知りません。つまり、同じような製品があったら日本製を選ぶ、というか日本製の製品はもうあまりないので、日本企業の製品を選ぶ、というやつです。

日本が衰え始め、中国や韓国など他のアジア諸国の台頭が目についてきた21世紀初頭、2010年ぐらいまでは、私もこの愛国買いという行為をしばしばしていました。SamsungのディスプレイではなくIiyamaを買うとか、電子レンジや洗濯機はLGじゃなくてPanasonicにするとかそんな感じです。

当時は日本企業も日本での販売価格を低めに設定してる企業が多かったので、韓国製が似たような性能で安いとはいえ、それほどコストパフォーマンスに差はありませんでした。

しかし、そうやってサポートしてもらった日本企業は日本の消費者のことを本当に考えているでしょうか? 

そのあたりにちょっと疑問を感じたしたのは2005年頃でした。当時、私はAudio TechnicaのAT4040というマイクが欲しかったのですが、アメリカでの価格と日本の価格の差がだいぶあったのです。日本企業の製品なのにアメリカでの販売価格のほうがずっと安い。生産国はどこだか知りませんが、仮に中国だったとしても日本のほうが近いから輸送コストも低そうなもんです。とはいえ個人輸入すると国内サポートを受けられるか定かではなかった上に送料が高かった。

私は悩んだ末にShureのKSM44というマイクを購入しました。AT4040よりも上の価格帯のマイクなのですが、Shureはアメリカの会社で工場はメキシコなのに日本とアメリカの販売価格差がほとんどなかった。

もちろん私が知らない裏の事情があってそういう価格設定が行われるんでしょうが、他の国のユーザーが厚遇されているとボッタクられているように感じてしまいます。

で、私がいまメインで使っているカメラはパナソニックです。図らずもむかし電子レンジや洗濯機等で愛国買いして支えてきた会社です。他の業務についてはよく知りませんが、カメラ事業に関して言えば、パナソニックほど日本のユーザーを冷遇している企業はありません。

私が使っているのはLumix S1というカメラです。これが出たときに私は予約して買いました。ぜんぜん売れなかったので予約する必要なんてなかったんですが、私的にはスペックがツボだったのでてっきり売れると勘違いして思わず予約して買ったのです。

が、日本で買った人にはまったく特典なし。SDカードすら付きませんでした。一方、アメリカでの販売価格は日本よりも若干安い上に35,000円ほどするバッテリーグリップをオマケでつけるという大盤振る舞い。これを知ったときに一瞬予約をキャンセルしようかな、とも思いましたが、何しろスペックがツボだったので我慢しました。これって要するに私達が余分に払ったお金で、アメリカ人のユーザーにバッテリーグリップを無料でプレゼントしてるのと同じことじゃないですか?

で、今度はヨーロッパです。Lumix S1で10bit 422での4K動画撮影を可能にするDMW-SFU2というアップグレードソフトウェアキーがあるのですが、日本では2万円するのに、なんとヨーロッパでは無料! 無料ですよ! またしても日本のユーザーへのこの仕打。ふざけんなパナソニック。ぜったい買わね〜、と言いたいところだけど、必要なので買いました。

発売前の商品をYouTuberなどに渡してレビューしてもらうのも最近のマーケティングのトレンドですが、パナソニックはこのあたりも徹底していて、日本人のYouTuberには渡さなかったようです。ジェットダイスケみたいに20万以上のチャンネル登録者がいる人にも渡さず、1万人以下のサブスクライバーしかいない欧米のYouTuberには渡すという徹底ぶり。もしかしてパナソニックは日本人が大嫌いなの?

私はこのカメラもキットレンズも凄く気に入っているし、パナソニックのエンジニアも大いに称賛したいところです。が、上記の理由から、マーケティングの連中にはちょっとムカついています。いくらなんでも日本のユーザーを冷遇しすぎだろ! ああ、こんな会社を愛国買いで支えていた俺、アホだな。LGの電子レンジや洗濯機を選んで節約しておけばよかった。

ちなみにCP+の対応もPが一番悪かった。こちらの専門的な質問にものらりくらりと回答になっていないような答えしかよこさないでかなりイライラした。人を並ばせといて、一部のメディアに思いっきり割り込ませるし。予約していたのでウキウキしてブースに行ったのだけど、一気にテンション下がった。ちなみに一番良かったのはリコーで、答えづらい質問にも真摯に対応してくれました。

愛国買いなんて無意味です。あなたが応援しているその企業、あなたのことなんてまったく気にしてないかもしれませんよ? 大企業はすでにグローバル企業化しているので、日本企業とか韓国企業とかそういうカテゴリーはあまり意味がありません。

一番コスパが良い製品やサービスをあなたに提供している企業があなたにとって一番良い企業なのです。

日本人の嫌な奴と韓国人のいい奴、どっちと友達になりたいですか? 要するにそういうことです。愛国買いは無意味なのでやめましょう。

S1は良いカメラなので、使い続けますけどね!

α6500の中古が激安状態

ソニーは新型のカメラを出すペースが早く、また熱心なファンは最新のものを使いたがる傾向が強いせいか、新型が発表された直後に大量の中古品が市場に出回り、値崩れを起こすことがしばしばあります。α7R3が発表されたときもα7R2が14-15万ほどで大量に売り出された。しかし、これは一時的な現象だったようで、暫く経つと17万前後になっていました。

α6600の発売が近いこともあって現在α6600が似たような状況にある。たとえば、MapCameraではα6500の中古良品が税込みで73,800円で売られている。下位機種でボディ内手ブレ補正がないα6400の中古美品が85,800円なので、逆転現象が起きているのだ。これは安い。

ほしかった人は今が狙い目じゃないでしょうか。私の予想では暫く経つと9万前後ぐらいに戻ると思います。

画像処理エンジンやAFは進化しているようですが、同じ24MPのAPS-Cでボディ内手ブレ補正付き。個人的には、どう考えてもA6500を半額で買ったほうが良いと思いますね。

ソニーは旧型になる瞬間に質の良い中古を買うのが一番コスパ良いかもしれません。

プロの写真家・カメラマンという職業に将来性はあるのか?

昔はカメラというのは記念写真を撮るためのもので、作品を撮りたがる人は極めて少なかった。今はインスタ等のSNSの影響もあって作品として写真を撮る人は増えている。その影響もあって、カメラオタクや写真オタクは増えていて、CP+の入場者数も増え続けている。

が、一方でカメラの売上自体は落ちていて、市場も縮小している。とりわけ入門機とよばれる比較的安価な価格帯のカメラの売上の低下が著しい。記念写真的な用途であればスマホで十分なのだ。

縮小していく市場でメーカーは厳しい戦いを強いられている。当然ながら潤沢な予算を広告宣伝費に充てることができないので、近頃はハイアマをプロとして低賃金または無料で使うという風潮が目につく用になった。

これは売上が落ち続けているカメラ雑誌でも同様で、「プロが教える撮影テクニック50」みたいな企画に寄稿している人の大半は別に本業を持っていて、生活のために写真を撮っていない人たちだ。雑誌の世界では似たようなことが世界中で起こっている。かのTIME誌も無料で写真を使おうとカメラマンと交渉していたのがばれた。要するに有名カメラマンという職業は、名前は売れるが金にはならない名誉職になりつつある。

いわゆるハイアマの人たちは撮影テクニック等ではまったくプロに劣らないレベルになっているし、そもそも機材の進化が著しいので筋が良ければ1-2年でプロレベルの技能を身につけることができてしまう。

このあたりがプロカメラマンの悲しいところだ。たとえばプロのチェリストとアマチュアのチェリストの間にはマリアナ海溝よりも深い溝がある。3年間必死で練習してもプロレベルになることはない。全然レベルがちがうのだ。これはアスリートでも同じで、アマチュアのチャンピオンが全米オープンで優勝することはまずない。

しかし、写真の場合は実力の差があまりなく、場合によっては逆転現象も見られる。そんな状況でプロが取れる道はいくつかあるが、金にはならなくてもとりあえず名前と顔を売って、他で稼ぐという戦略がある。つまり、実際の収入はワークショップや写真教室、ガイド等で得るという戦略だ。作品を撮りたがる人は増えているのだから、当然ワークショップの需要も増している訳で、理にかなった戦略だ。

別の手段としては、名前は売れるけど金にならない仕事は一切せずに、金にはなるが名前は売れない仕事に専念するという手段だ。つまり名より実を取る。これは憧れる人があまりいないので、まだ稼ぐチャンスがある。

シャンタオ(xiantao)氏をご存知だろうか? PIXTAでトップの売上を誇る人だが知っている人は少ないだろう。2018年の彼の売上は3200万円で経費を引いた利益は2500万円だという。今も右肩上がりで売上は増えているそうだ。

CP+に登壇した「有名プロ写真家」の大半は、彼の売上の1/10も稼いでないだろう。上記の理由でそもそも写真で食っていない人たちが多数登壇するようになってきた。実際にはCP+はハイアマによるハイアマのための祭典になりつつある。それはそれで決して悪いことではないが、食っていけるだけ稼がなきゃプロではない、と私は思う。

また、別の手段としては、スチールでなく動画中心の活動に切り替える、という手もあるのだが、長くなってきたのでこれはまた別の機会に書こう。

結論を言うと、下記のいずれかに当てはまらない場合は「プロの有名写真家」を目指さないほうが良い。

・親が金持ちでそれなりの財産を相続する予定がある
・柔軟に休みが取れてそこそこ給料が良い仕事を本業にする
・配偶者が金持ちまたは高給取りで撮影活動に理解がある

要するに好きな作品を撮って、それを販売して、かつ生活していけるぐらいの利益を上げている人は殆ど存在しない。派手に活躍している人たちも赤字を垂れ流して、財産を崩して補填しているってパターンが多い。

ハイアマの皆さんは、有名大学卒業で大企業の正社員みたいないわゆるエリートが多いです。ブラックに勤めていたら趣味どころじゃないですからね。また、有名プロ写真家の中には親が金持ちでかなりの財産を相続したって人も多い。

夢のない話で申し訳ないですが、普通の境遇の人には厳しい世界です。

ストックで稼ぎたいならば、機材を揃えてモデルさんを雇って売れ筋を撮りまくって登録しまくる生活を5年ぐらい続ければ、3200万は無理でも500-1000万ぐらいは可能だと思います。しかし、ストックの場合は撮影にかける時間が1だとしたら、現像が1-2、登録作業が7-8ぐらいになり、副業と呼べるレベルになるのに最低でも2年ぐらいは掛かるので、普通の写真好き・カメラ好きの人は途中で心が折れちゃうでしょう。

オリンパスがデジカメ事業から撤退するかもしれない?

オリンパス、“物言う”外資系ファンドを経営に参画させるウルトラCで株価急騰 〜デジカメ事業から撤退の可能性も〜

というニュースが出ていた。あくまで推測に過ぎないが、カメラ部門は赤字を垂れ流しているのだから有り得る話だ。危ないと言われているニコンでさえ、カメラ部門は一応利益を出している。ニコンが危ないのは半導体装置事業などが更にひどい状況だからだ。

最近はボディ内手ぶれ補正機能を搭載したカメラが増えたが、手ぶれ補正の技術に関しては間違いなくオリンパスが一番だと思う。その点は非常に魅力的なのだが、近ごろはオリンパスのカメラを買っていない。

なぜマイクロフォーサーズではPanasonic GH5を使ってE-M1MK2を使わないかというと、動画だ。動画のクオリティがぜんぜん違うし、オリンパスのカメラはマイクプリの質も低い。駄目な音しか撮れない。別途レコーダーを用意すると作業が増える。フリーランスにとって作業が増えるというのは収入が減るのと同じことだ。

もし、OM-Dが4K 422 10bit内部録画なサポートし、プリアンプの品質を上げたならば間違いなく購入するだろう。オリンパスの手ぶれ補正技術があれば、ジンバル無しで運用できる。ものすごくスピーディに4Kのフッテージを量産できてしまう。しかし、上層部がインタビューでスチールに注力すると言っているので、望み薄だろう。

スチールだったらフルサイズ機が欲しい。フルサイズであの手ぶれ補正だったら最高だ。三脚なんていらない。動画も静止画も両方撮る必要があって1台しか持っていけないときはPanasonic GH5を持っていくが、スチールは大したことない。所詮はマイクロフォーサーズ。大伸ばししないのであれば十分とも言えるが、フルサイズの高画素機に慣れた人にはがっかりな画質だと思う。私の場合は風景がメインなので、プリントにしてもストックにしても高画質な方が望ましい。A4雑誌の大きさまでの仕事ならばMFTで十分だろうけど。

というわけでオリンパスの技術の凄さは認めつつ私のニーズとは噛み合わないので、買えないでいる。

確かに小型カメラのニーズはあるのだろうけど、スマホがどんどん進化しているので、M43はどんどん苦しくなる。マーケットの規模がぜんぜん違うので、スマホのカメラには途方もない研究開発費が掛かっているのだ。スマホよりもちょっと大きい、という程度のセンサーだと勝てなくなるだろう。カメラを買うのはマニアとプロだけになるので、M43を選ぶ人はどんどん少なくなるだろう。APS-Cやフルサイズでも十分にコンパクトな機種があるし、高画質のスマホもあるので、静止画では望遠域以外で使う理由があまりない。

E-M1Xは凄いカメラだと思うけど、売れないと思う。絶賛する人は多いが、実際に買う人は少ない。そういうカメラだと思う。私も収入が今の倍あったら欲しいが、どうしても必要なカメラではないので手が出ない。フルサイズとヨンニッパは重くて持てないけど、カワセミが撮りたいというような人ならば是が非でもほしいだろうが、ちょっとニッチすぎる。M43にあの性能を求める人の絶対数はかなり少ないと思う。

オリンパスはLマウント連合に入ってフルサイズで戦うのが一番良いと思う。マーケットは縮小していくのだから、すべてのマウントが残れるわけではない。オリンパスが一社でM43を支えるのは厳しいだろう。Panasonicは一応M43も引き続きサポートすると言っているが、徐々にフェードアウトしていくのは間違いない。ペンタックスも同様に単独で自社マウントを支えるのは厳しいと思う。

もし仮にオリンパスがカメラ事業から撤退することになったとしても、手ぶれ補正の技術は圧倒的だし、手持ちハイレゾみたいな独自の技術も持っているので、カメラ事業だけ買収したがる会社もあるのではないだろうか? 買う余力があるのはソニーとキヤノンぐらいだろうから、その時にミラーレス時代の覇者が決定するかもしれない。

リコーがTHETA Z1を発表!

リコーがTHETA Z1を発表!

最初にリコーが1インチセンサーを2つ搭載したTHETAシリーズのフラッグシップモデルを出す、と聞いたときにはものすごく興奮した。が、スペックの詳細を読んでみたら期待は失望に置き換わった。要するにセンサーサイズ以外はGoPro FusionやINSTA 360 One Xに負けてる感があります。

致命的なのは内蔵メモリが19GBでMicroSDが使えないってこと。超致命的。静止画をRAWでも撮れることを売りにしてるが、350枚しか撮れない。30pのタイムラプスだと12秒弱。ちょっと信じられない。

そして360°VR動画の解像度が3840×1920という小さなサイズ。VRゴーグルを持っている人ならばわかると思いますが、360°VRは映る範囲が広いので、4Kじゃお話になりません。最低でも6Kは欲しい。なんのための1インチセンサーなんでしょうか? 高感度専用?

フラッグシップでありながらプロが仕事では使えないという残念な仕様でした。とはいえINSTA 360 TITANとかは手が出ないので、GoProかINSTAで1インチバージョンが出るのを期待します。

P.S.
CP+に行って実機をいじってきました。リコーの方が親切に質問に答えてくださり以下が判明しました。ありがとうございます。
・USB Type CにSSDやUSBメモリをつなげてデータを転送できるが、リアルタイムでの保存はできない。つまり一回のセッションで使用できるメモリは最大19GB。
・給電できるので、熱暴走等をしない限りはずっとライブストリーミングできる。
・給電して使用する場合は最初に満充電にしてから使用したほうが良い。
・360VR動画の解像度はファームウェアアップデートで改善する可能性もあるが、あまり期待できない。

やはり自分の場合はメモリ容量と動画の解像度がネックとなり購入には至らなそうですが、静止画やライブブロードキャストがメインの方には良い製品だと思います。動画6K+&MicroSD対応のZ2を期待して待ってます。

Panasonic S1/S1R発表を受けての雑感

Pansonic S1およびS1Rが海外で正式に発表された。当初はS1とS1Rを両方買って、ニコンのフルサイズ2台とほぼ動画専用のPanasonic GH5およびM43のレンズを売るつもりだったが、ちょっと考え直しているところだ。

GH5については動画は素晴らしいんだけど、静止画の画質は所詮マイクロフォーサーズ。静止画と動画を両方撮る必要があり、かつ長距離歩く必要がある場合はGH5を持っていくが、静止画を撮るときにいまいち精神が高揚しない。帰ってMACで画像を見てもちょっとがっかりする。もちろんマイクロフォーサーズも進歩しているので、昔使っていた初代E-M5あたりと比べるとずっと良いし、等倍で見ても一応そこそこ解像しているのだが、どこか余裕がない感じがする。

というわけでS1がGH5と同等の動画機能を持っているのならば、S1を動画メインで静止画サブ、S1Rを静止画メインで動画サブとして使おうかと思っていたのだけど、なんだかんだと言ってGH5のほうが動画の性能はS1よりも良いみたいだ。たとえばS1ではライセンスキーを買わないと4K 422 10bitが使えないし、4K60Pだとクロップされるなどの制限がある。また、レンズが揃っていないので、完全にリプレイスするのは難しいと判断した。

S1については将来的に提供されるファームウェアアップデートとライセンスキー購入でほぼ動画メインとして使える実力を身に着けそうな感じだけど、どのみち桜には間に合わなさそうだから、無理して発売時に予約する必要は無いかもしれない。一方S1Rは4K動画に対応してるとはいえ420 8bitの上ラインスキッピングなので、動画用のカメラとしては微妙なスペック。静止画メインだったらSIGMAが発表する予定のフルサイズフォビオンも気になるので、S1Rは買わないでおく。たぶん将来的には更に動画よりに振ったSH1(s)とかS1S みたいな製品を出すんじゃないかと予想して、とりあえずS1と24-105だけ買おうかなと思っている。

同時に発表されたレンズについては、ちょっとラインナップが自分と合っていなかった。あれだけ高額で重い50mmの単焦点はまったく必要としていない。正直なところこういう製品はシグマに任せて、もう少し普通のレンズを用意してほしかった。標準ズームが24-105なんだから望遠は70-200ではなく100-300とかにしてほしかった。というわけで24-105以外に欲しいレンズがない。だからLマウントのボディを2つ買っても意味はない。それならばS1 + 24-105mm F4とGH5 + 50-200mm F2.8-4(換算100-400)のコンビネーションのほうがずっと使い勝手が良さそうだ。とりあえずSIGMAのLマウントロードマップが見えてくるまでは、GH5とS1の組み合わせでで行こうと思う。

気になるのがハイレゾモード。実は先日、富士山と桜が写った縦構図の画像を超大判印刷(1500mm x 2400mm)で使いたい、という依頼が来た。が、縦でスティチすることはあまりないので、その大きさで100dpiの印刷に耐える画像は持っていなかった。ハイレゾモードが実用的に使用できるのであれば、積極的に使用していきたいし、場合によってはS1Rの購入の可能性もある。

でも、大奮発して100/150MPのPhase Oneを買ったりすることはない。RAWデータを見せてもらったが、単にピクセル数が増えただけで、普通のベイヤーセンサーの絵だった。それにレンズが駄目で、単焦点で絞っているのに周辺が甘い。都内を車で走っていても、空白のビルボードが目立つようになってきた。大判印刷や巨大画像のライセンシングの売上がこれからどんどん上がっていくとは思えない。そもそもアマナイメージスなどは展開サイズが100MBまでのファイルしか置けないので、販路も限られる。デジタル機器のリセルバリューはあっという間に落ちていくので、あそこまで高額なカメラを買っても投資金額を回収できないだろう。

広告産業は静止画から動画にシフトしているので、生活を考えるとより動画を重視せざるを得ない。実感として動画で稼ぐほうが静止画の1.5倍ぐらい楽。

カメラのマーケットは今後もスマホに食われて縮んでいくだろう。10年以内に1つまたは2のカメラメーカーが撤退すると予想しているが、角が立つので具体的にどのメーカーが危ういのかは言わない。Panasonicはマイクロフォーサーズもサポートし続けると言っているが、もっとLマントにリソースを集中したほうが良いと思う。縮小していくマーケットで複数のマウントを採用するのは無理がある。将来性のあまりないマイクロフォーサーズは諦め、AU-EVA1の後継機もLマウントにすべきだと思う。

CANON EOS R発表についての雑感(あるいは業界の動向についてのただの愚痴)

新しいカメラが出たときにまず注目するのが動画機能。というかよほど大きくプリントしたいとか、よほど連射とAF性能が必要だとか、よほど高感度に強いとか、よほど下手くそでもとにかくシャッターボタンを押してりゃ撮れるとか、そういうニーズ以外、これ以上なにをスチルカメラに求めるのか? 業界としては『フルサイズミラーレス』をバズワードにして売りたいんだろうけど、一般的な消費者はスマホさえあれば良い。
一番頑張ってほしい基本的な性能であるダイナミックレンジはここ十年でせいぜい1~2EVぐらいしか広がっていないし、階調表現もたいして進化していない。実のところ静止画の画質なんて5DM2の頃からあまり変わっていない。真っ暗闇でも合焦するAFとか、ものすごく食いつきの良いC-AFとかそういう「誰でも撮れる」って部分の機能だけがどんどん進化している。
おかげで10年経ってもストックフォトとしての価値があまり下がらないのはありがたいけれど、デジタルオーディオの世界はあっというまに8bitのド素人が聞いても汚い音から24bitに進化したので、画像・映像の世界の進歩は本当に遅いなぁ、というのが実感。

 

だからD800とか5D3あたりを未だに使っているプロとしては、見栄と物欲いがいはあまり買い換える理由がない。プロの場合は浪費ではなくて投資なので、コスト管理がシビア。ようするに機材を買うことで収入が増えないと意味はない。
例外的にすごく儲かっている人は特に必要性がなくてもどんどん買う。特に30万以下のクラスならば、経費として一括算入できるので、どうせ税金でとられるんだったら買っちゃうか〜みたいなのりで買える。あとはメーカーの広告・販促サポートが生業のプロ写真家たちは、当然、自分のお客さんの製品を絶賛して、まるで買い替えが必要かのように煽る。それがお仕事なので。でも実際に成果物を販売して生計を立てるプロにとっては、静止画の画質のために新しいカメラに買い換える必要性は薄い。
ま、とにかくここ10年でスチルカメラの機能は良くなったけれど、画質自体はあまり進化していない。
そんななかで劇的に進化しているのが一眼カメラについている動画機能。GH5なんて動画9割、静止画1割ぐらいの割合で使っています。それに動画のほうがスチルよりも儲かる。というかたいして儲からないけど、スチルほど過酷な状況ではない。先日、NYCのタイムズスクエアの映像を360 VRでみて驚いたのたけど、広告は殆ど大型TVになっている。都内をドライブしているときも広告募集中のビルボードがすごく目につく。大型TVに置き換わっている以上に、スマホがターゲットの広告が増えているので、高画素機とかなんに使うの? って感じはかなりする。スチルの広告写真はこれからもどんどん動画に置き換わるわけで、こんな状況でスチルカメラに多大な出費なんてしてられないのです。でも、プロ用の動画機としてみるとすごくコスパが良い。

 

動画の世界には「名前がでるだけで大喜びして、無料で喜んでプロの仕事をしちゃうハイアマ」がほとんどいない。この点も大きい。そういう「名前がでるだけで大喜びして、無料で喜んでプロの仕事をしちゃうハイアマ」がたくさんいる世界のプロは死に絶える定めです。ある程度以上の技能を持った層の大半が「名前なんてどうでもいいけど、金はしっかり払え」という業界じゃないと生活できません。クレジットを載せるから無料で写真を使わせてください、とか連絡してくるTV局、タヒね。とか思わず感情的になってしまいたくなるときもたまにある。
 
閑話休題。ま、そんなわけで今回のEOS Rもまずは動画機能に注目してみたが、なんと外部出力だと4K 10bitいける! これは思い切ったことをした。
 
キヤノンのデュアルピクセルCMOS AFはソニーよりも更に評判が良いので、動画でAFを使いたい人にはすごく良さそう。この点、PANASONICもだいぶ良くなったけどまだまだ負けてます。ちなみにNIKONのAFは動画用としては論外なレベル。Zシリーズは試していないけど、この点に関してはまったく期待していない。
 
もしクロップなしの全画素読み出しならば、ソニーのαシリーズより動画用としては良いでしょう。ただし画素数が多いのでローリングシャッターは気になるかもしれません。Cinema EOSがあるのによくここまで出してきたなぁ、と感心しました。C200の購入を検討していた人はだいぶこちらに流れるでしょう。FS5、URUSA Mini-Pro、EVA-1あたりも含めて、安めのプロ動画機を買う意味がなくなってきています。
 
これでA7S3も10 bitに対応せざるを得なくなりましたね。もはやチキンレース状態。ソニーとキヤノンはプロ動画機を守るために出し惜しみしてきたけど、出し惜しみできない状態になりました。プロシューマー機で稼がないとならないプロには良いことです(笑)。
 
ニコンも最近動画がんばっているけど残念ながら周回遅れです。ただしタイムラプスに関してはニコンが一番良いと思います。ソニーは本体から機能削ったし、PANASONICはインターバル撮影中にISOやSS等をマニュアルモードでも変更できないので明暗差が激しい朝夕の使用は厳しい。Nikon機はタイムラプス中のバッファの使い方が巧みで、同じSDカードでもニコンだとディスクフルにならないし、シャッタースピードもギリギリ長く設定できる。GH5はUHS-IIの一番速いSDカードでも1秒間隔でRAWを撮ってると500枚程度で書き込みが間に合わなくなることがありますが、D800Eのような旧型機でずっと遅いCF/SDカードにずっと大きいファイル(36MB 14bit RAW)を1秒間隔で書き込んでもニコンでは999枚余裕です。0.5秒間隔で撮れるのもニコンだけ。露出平滑化機能もある。
 
しばらくは様子見ですが、キヤノンのRのほうがニコンのZよりは面白そうです。Z6/Z7だったらD850のほうがずっと良いカメラかな、というのが正直なところ。ミラーレスか否かという点に注目が集まっているけど、カメラとしてどちらが良いか、という点のほうがずっと大事だと思います。EOS Rの場合、少なくとも5D4よりはだいぶ良さそうに見える。

P.S. やはりローリングシャッタはかなり酷いようなので被写体を選びますね。
https://www.youtube.com/watch?v=SAZKPQRBREc