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サンタなんて夢じゃない

トランプ氏、7歳の子供に「まだサンタを信じてる?」

トランプ米大統領が7歳の子供に「7歳にもなってまだサンタを信じてるのか?」と言ったことが話題になった。例によって非難轟々だが、典型的な反応は「子供の夢を壊すのはけしからん」というようなものだ。

しかし、ここで使われているような「夢」という言葉の定義に私は違和感を感じる。つまり非現実的なファンタジーを夢と呼んでいるのだ。しかも子どもたちが自主的に「サンタクロース」という人物像を感得したわけでもなく、大人によるお仕着せにすぎない。お前はガキだからサンタでも信じてろ、という感じ。子供を対等の人間だと認めていないからそういうことができる。それが夢? 自分はまったく信じていないのに子供にサンタの存在を信じ込ませることが粋な行為? 私は承服しかねる。

こうやって子供の夢を守っているはずの大人たちも、たとえば自分の子供がYoutuberになりたいと言ったら、声高に反対する者が多いだろう。つまり彼らの頭の中では夢というのは完全に非現実であり、自分のリアルの生活では一切夢を追求せず、せいぜい宝くじを買うことを「夢」などと呼んでいるに過ぎない。

これはある面、極楽浄土の思想の頃からあまり変化していない現世否定主義であり、現実の人生は辛いから、子供のうちぐらいはせめてサンタクロースなどというファンタジーを信じさせてあげよう、ということだ。本人たちは親心だと信じているようだが、子供の可能性を過小評価しているだけではないだろうか?

「夢は現実世界で実際に叶えるもの」という価値観でこの件について考えるとむしろトランプのほうが正しいと思う。

そういう考え方に立つと、サンタクロースなどという非現実的な存在を信じ込むよりも、自分の置かれた現実を正確に認識し、夢を現実的な目標に落とし込み、そこに至る現実的な計画をたて、その計画に従って今日できることを積み重ねていける人間になったほうがずっと良い。

我々は資本主義社会に住んでいる。現在の人間社会で自分の(現実的な目標としての)夢を達成するためにまず必要になるのは、金だろう。贅沢をするのが目的ではない。金があれば自分の時間を作ることができる。そこではじめて本当に自分の夢を追求することができるようになる。金がなければ、生活のために自分の時間を費やさざるを得ない。サンタを夢と呼んでいる大人たちの現実がまさにそれだろう。つまり、幼い頃に基本的なファイナンシャルリテラシーを得ていた方が、夢を成就する可能性は高まる。

また、我々は法治国家に住んでいるのだから法律的な知識を増やしたほうが有利だろう。金があれば弁護士を雇うこともできるのでやはりお金は大事だ。金は目的ではなく手段として重要なのだ。

そして、科学とテクノロジーも同様に重要である。このような迷信を盲信するよりも、科学的思考法を身に着けテクノロジーを有効に活用できる人間になったほうが現実社会で夢を成就する可能性が高い。

もし、夢という概念が単なる現実逃避ではなく現実の延長線上に存在しているのであれば、サンタクロースの代わりに「金と法律と科学」を子供が興味を持つような形で教えたほうがずっと良いと思う。

そんな俗っぽいことは大人になってから覚えれば良い、と思うかもしれないけど、多くの場合、それでは手遅れなのだ。

今後の社会は更に貧富の差が広がり、医学の進歩により金持ちは今までの常識を遥かに超えた長寿を満喫し、貧者たちは奴隷のような存在になる可能性が高い。子供に幸せな大人に育ってほしいのか、それとも子供のうちだけ幸せであればそれで良いのか?

サンタなんて夢じゃない。