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岩田健太郎氏による告発と高山義浩氏の反応に関する私見

岩田健太郎氏によるダイヤモンド・プリンセス号の感染症対策の不備を批判する告発動画がいま世間を騒がせています。あまりにも騒動が大きくなった結果、岩田氏本人は動画を削除してしまったようですが、他のYouTubeチャンネルで見ることが出来ます。

岩田さんは英語でも同じような内容の動画を作成していて、BBCなどが放送しています。英語は日本語なまりですが十分に通じるし、流暢(fluent)で、インテリらしく語彙も知的ですね。

岩田氏の主張を要約すると、ダイヤモンド・プリンセスの船内での感染症対策は全くできておらず。感染症対策における基本であるグリーンゾーン(安全地帯)とレッドゾーン(危険地帯)の区分けも不明瞭で、とても危険な状態。「シエラレオネよりひどい」という衝撃的な発言も飛び出しています

この岩田氏がダイヤモンド・プリンセスに入ることができるように便宜をはかったと見られる厚労省の高山義浩氏がFaceBookに反論を書いています。一般投稿で誰でも読めます。

こういう時はどちらか一方の主張をうのみにするのではなく、なるべく多数の人の意見を訊いた方が真実に近づける、と私は思っているので、高山氏の反論も読みました。感情的にならずに書いていて、好感の持てる文章です。

高山氏の反論はいきなり「まぁ、岩田先生らしいなぁ」で始まっている点に私は注目しました。つまり高山氏は岩田氏の性格を知った上で、つまり、こういう出来事が起こりうる可能性をある程度予測した上で、あえて呼び寄せた、ということです。

それは岩田氏がこの道では日本でトップレベルのスペシャリストであることを考えれば当然といえば当然ですが、岩田氏を呼ぶことでこの問題に一石を投じたかったのかもしれません。一石というよりも文字通り岩だったようで、投じて出来たのは波紋ではなく津波だったのはちょっと計算違いだったのかもしれませんが。

また「シエラレオネのほうがよほどマシ」という岩田氏の指摘に対し、高山氏が「シエラレオネにおいて、先進国が運用する医療センターのことだと思います。最貧国の市中病院の感染管理の悲惨さと同一視させることのないようにお願いします。」と答えている点も注目に値します。これはつまり、「最貧国の市中病院よりはマシだが、先進国レベルの対応は出来ていない」という事実を高山氏が暗に認めているようにも受け取れます。

高山氏は理想的とはとても言えない状態であっても、たとえ上がひどく無能であっても、その中で最善をつくすべきだというような考えなのだと思われます。一方、岩田氏は中に入ってあれこれと問題点を指摘したために煙たがられて外に放り出された、という印象があります。

そこで浮上しているのが「岩田氏はコミュ力が無い」説で、彼のことを直接知っていると思われる人間が上記のようなツイートをしています。

しかし、ここで言うコミュ力とは、根回しして、無能な上司や権力者にごますってみたいな、あくまでも旧態依然とした日本社会におけるコミュニケーション能力ではないでしょうか? そして、ごますりで出世した無能な人間がごますってくる無能な人間を引き上げる、みたいな無限下降ループに陥ってますよね。

欧米の価値観で見れば、忖度せずに自分の意見を理路整然とはっきりと主張する岩田氏は非常にコミュ力が高いと思います。グローバルスタンダードでみると偉大な個人が没個性な日本社会で嫌われるというような事例にも思えます。

彼が嫌いな人達も彼の能力や経験は認めざるを得ないような状況なのですから、当局は彼が指摘した点を直すように努力すべきでしょう。

考え方ややり方に違いがあるようですが、私としては岩田氏も高山氏も尊敬に値する立派な人だと思います。

駄目なのはシステム。日本の既存のシステムが全体的に腐ってきています。昔は政治は三流だが優秀な官僚が支えていると思われていました。が、今は政治は三流のままでそれを支えていた優秀なはずの官僚も二流以下になってきた感があります。昔は一流と言われていた経済も二流から三流に転落中といった感じになってきました。

高山氏については、官僚にしてはずいぶんと人間味のある投稿だな、と思いプロフィールをチェックしてみたところ、生粋の厚労省の役人ではなく、感染症専門の医師で現在は厚労省で働いているといった感じのようです。

今回のコロナウィルスは致死率2%なので、この程度の騒ぎで収まっていますが、致死率が高いウィルスが流行したら完全にパニックです。311の時に菅直人が総理大臣で危機対応能力のなさを叩かれましたが、安倍晋三も似たようなものでした。

とどのつまり誰のせいかというと国民のせいなのです。国民が選挙に行く、または行かないことによって選ばれた政権ですから。誰がやっても同じというような諦めの気持ちもわからなくはありませんが、選挙には行きましょう。どんぐりの背比べみたいなうんこの中から一番臭くないうんこを選ぶのが国民の義務なのです。