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StoryBlocksによる謎のMarketplace閉鎖

一月ほど前にStoryblocksから突然Marketplaceを閉めてこの後はMember Library Partner Program(サブスクリプション形態らしい)だけでやっていきますという通知が来た。それと同時に君のカタログはなかなか魅力的だから、場所に余裕ができたら一部をMLPPで売りたいんだけど、どうかな? みたいな招待が届いていたので、応募した。

その後もアップロードは普通にできていたし、レビューも行われていたので続けていたが、9月に入ってアップロードができなくなった。どうやら本当にMarketplaceは閉鎖されたらしい。

てっきりMarketplaceへのアップロードはできなくなるが、販売はそのまま続けるものと思っていた。が、どうやら本当にすべてのファイルをサイトから削除しまったようで、いままでの時間はなんだったのか? と怒り心頭のコントリビューターも多いようだ。

私もちょっと怒っているのだが、基本的にここはAdobe Stockで使ったタイトルとタグをそのままコピペするだけで登録できだので、それほど時間は無駄になっていない。それでも年間1000ドル弱の売上はあったのだから、ダメージはあけっこうある。

今年はPond5による実質的なコミッションレートの切り下げもあったので、この調子でストックフッテージのビジネスを続けていって本当にやっていけるのかちょっと不安になってきた。過去にアップロードしたクリップを向こうで勝手にMLPPに横流しして、いくらかの収入がこれからもあるのであればそれでもいいが、もう一度アップロードしろ、とかもう一度タグ付けしろと言われたらその段階でこの会社は切り捨てようと思う。

しかし、なんでこんなコントリビューター全員を敵に回すような愚かなことをするんでしょうか? Marketplaceを維持するのがサーバー代的に割に合わないというのならばもう末期だろうから、身売りしたほうが良いと思う。

Pond5にしろVideoBlocks (StoryBlocks)にしろ、最初はクリエーターの味方ですって顔をして、フェアなコミッションレートなどを売りにコンテンツを集めておいて、必要なくなったらクリエターを切り捨てる会社は多い。基本的にプラットフォーマーや大規模エージェンシーというのは信用できない。本来であれば自分のサイトで独占的にコンテンツを販売するのがベストなのだろうが、個人では流石に難しい。

YouTubeに力を入れて広告収入の増加を目指すという戦略もあるが、Googleという会社もいざとなったら手のひらを返して、コンテンツプロバイダーを切り捨てるというのはGoogle+で嫌というほど経験した。

いずれにせよ個人の自由業者というのは大企業のご都合に振り回されますね。将来が見えないで不安になるときもあるが、まぁ、なんとかなるっしょ。

プロの写真家・カメラマンという職業に将来性はあるのか?

昔はカメラというのは記念写真を撮るためのもので、作品を撮りたがる人は極めて少なかった。今はインスタ等のSNSの影響もあって作品として写真を撮る人は増えている。その影響もあって、カメラオタクや写真オタクは増えていて、CP+の入場者数も増え続けている。

が、一方でカメラの売上自体は落ちていて、市場も縮小している。とりわけ入門機とよばれる比較的安価な価格帯のカメラの売上の低下が著しい。記念写真的な用途であればスマホで十分なのだ。

縮小していく市場でメーカーは厳しい戦いを強いられている。当然ながら潤沢な予算を広告宣伝費に充てることができないので、近頃はハイアマをプロとして低賃金または無料で使うという風潮が目につく用になった。

これは売上が落ち続けているカメラ雑誌でも同様で、「プロが教える撮影テクニック50」みたいな企画に寄稿している人の大半は別に本業を持っていて、生活のために写真を撮っていない人たちだ。雑誌の世界では似たようなことが世界中で起こっている。かのTIME誌も無料で写真を使おうとカメラマンと交渉していたのがばれた。要するに有名カメラマンという職業は、名前は売れるが金にはならない名誉職になりつつある。

いわゆるハイアマの人たちは撮影テクニック等ではまったくプロに劣らないレベルになっているし、そもそも機材の進化が著しいので筋が良ければ1-2年でプロレベルの技能を身につけることができてしまう。

このあたりがプロカメラマンの悲しいところだ。たとえばプロのチェリストとアマチュアのチェリストの間にはマリアナ海溝よりも深い溝がある。3年間必死で練習してもプロレベルになることはない。全然レベルがちがうのだ。これはアスリートでも同じで、アマチュアのチャンピオンが全米オープンで優勝することはまずない。

しかし、写真の場合は実力の差があまりなく、場合によっては逆転現象も見られる。そんな状況でプロが取れる道はいくつかあるが、金にはならなくてもとりあえず名前と顔を売って、他で稼ぐという戦略がある。つまり、実際の収入はワークショップや写真教室、ガイド等で得るという戦略だ。作品を撮りたがる人は増えているのだから、当然ワークショップの需要も増している訳で、理にかなった戦略だ。

別の手段としては、名前は売れるけど金にならない仕事は一切せずに、金にはなるが名前は売れない仕事に専念するという手段だ。つまり名より実を取る。これは憧れる人があまりいないので、まだ稼ぐチャンスがある。

シャンタオ(xiantao)氏をご存知だろうか? PIXTAでトップの売上を誇る人だが知っている人は少ないだろう。2018年の彼の売上は3200万円で経費を引いた利益は2500万円だという。今も右肩上がりで売上は増えているそうだ。

CP+に登壇した「有名プロ写真家」の大半は、彼の売上の1/10も稼いでないだろう。上記の理由でそもそも写真で食っていない人たちが多数登壇するようになってきた。実際にはCP+はハイアマによるハイアマのための祭典になりつつある。それはそれで決して悪いことではないが、食っていけるだけ稼がなきゃプロではない、と私は思う。

また、別の手段としては、スチールでなく動画中心の活動に切り替える、という手もあるのだが、長くなってきたのでこれはまた別の機会に書こう。

結論を言うと、下記のいずれかに当てはまらない場合は「プロの有名写真家」を目指さないほうが良い。

・親が金持ちでそれなりの財産を相続する予定がある
・柔軟に休みが取れてそこそこ給料が良い仕事を本業にする
・配偶者が金持ちまたは高給取りで撮影活動に理解がある

要するに好きな作品を撮って、それを販売して、かつ生活していけるぐらいの利益を上げている人は殆ど存在しない。派手に活躍している人たちも赤字を垂れ流して、財産を崩して補填しているってパターンが多い。

ハイアマの皆さんは、有名大学卒業で大企業の正社員みたいないわゆるエリートが多いです。ブラックに勤めていたら趣味どころじゃないですからね。また、有名プロ写真家の中には親が金持ちでかなりの財産を相続したって人も多い。

夢のない話で申し訳ないですが、普通の境遇の人には厳しい世界です。

ストックで稼ぎたいならば、機材を揃えてモデルさんを雇って売れ筋を撮りまくって登録しまくる生活を5年ぐらい続ければ、3200万は無理でも500-1000万ぐらいは可能だと思います。しかし、ストックの場合は撮影にかける時間が1だとしたら、現像が1-2、登録作業が7-8ぐらいになり、副業と呼べるレベルになるのに最低でも2年ぐらいは掛かるので、普通の写真好き・カメラ好きの人は途中で心が折れちゃうでしょう。

Pond5がロイヤルティポリシーを変更

イチローの引退に気を取られている隙きに、Pond5からさり気なく通知のメールが届いていた。要約すると、Pond5はExclusiveつまり排他的な契約を導入することにしたそうです。Exclusive契約のアーティストは50%から60%にコミッションレートがアップする代わりに、Non-exclusiveのアーティストは50%から40%に下がる。この変更は4/8から実施されるとのこと。

いままでさんざん我々はクリエーターの味方だから取り分はフェアな50-50だとか言っておいて、この仕打。正直言って裏切られたという感覚が強い。実際問題、ShutterStockのほうが販売力があるし、日本のコンテンツだったらPIXTAのほうがまだ金になるぐらいなので、フッテージ販売を収入源としているプロ・セミプロがPond5とExclusive契約を結ぶことは無い。つまりいままで貢献してきたクリエイターを裏切ったコストカット以外の何物でもない。

Pond5は日付や説明文の入力もしないとならないので、登録もちょっと面倒です。英語が得意でない人は無理して登録する必要ないかも。ウェブサイズのデータ販売が始まったときも一方的に安い値段をすべてのクリップにつけてきたので、手動で全部直さなくてはならなかった。もはやPond5は手間がかかる割には儲からないサイトになりつつある。

こうなってくると50-50 non-exclusiveのポリシーを一貫して維持しているAlamyは偉いな、と思います。Alamyは裏切らないでくれ。

こんなふうにすぐにポリシーを変更する会社にExclusiveでコンテンツを預けるのリスキーですよ。コンテンツを囲い混んだ後で、Exclusiveのロイヤルティレートを下げるっていうようなこともやりかねない。

ストックフッテージ売上No.1のShutterStockで動画を販売したい方はこちら

「ぱくたそ」の画像がShutterStockに勝手に登録されていた件

フリー画像素材を米企業が「有料販売」 被害訴えたサイト「削除してほしいと懇願」

「ぱくたそ」の画像が「ShutterStock」に勝手に登録されて販売されていたという事件? が記事になっていた。しかしですね、こんなのこの業界では日常茶飯事ですよ。ShutterStockはGetty Imagesと並ぶ業界の雄で、PIXTAやフォトライブラリーとは全然規模が違う。要するに、ここで販売されている億単位の写真の中に、誰かが著作権者に無断で登録した写真が紛れていたということでしょう。そんなことがなんでニュースになるの? というのが正直な感想。

コメント欄にはストックフォトというビジネスを知らない人たちが頓珍漢なコメントをたくさん残していますが、ShutterStock(以下SS)自体が意図的に「ぱくたそ(以下PKTS)」の写真を無断転載することは絶対にない。なんのメリットもない。具体的に何枚無断掲載されたのかは書いていないが、一枚でこんなニュースになっているなら失笑ものだ。なにしろ売上は$0の可能性が高い。

マイクロストックなんて売れ筋のポートレートをちゃんとモデルリリースを取って万単位で登録しないとまともな収入にならない。無断で転載した人間もSSにコントリビューターとして登録するときには運転免許証やパスポート等の顔写真付きの身分証明証のコピーやらなんやら渡してるはずで、紐付けられているPaypalのアカウントについても同様だから、IDの特定は簡単だと思う。そのあたりまで偽造してもリスクが多いだけでたいした収入にはならないし、意味はないと思う。もし万が一、組織的にそういう犯罪が行われているならば、業界全体として対応が必要だろうけどね。

しかし再発防止とか訊かれてもSSも困るだろう。業界内での標準的な対策はしているだろうし。逆に誰かがPKTSに対して(本物の)著作権者に無断で転載した場合に、PKTSはちゃんと対応できるのだろか?

なぜSSはすぐに問題の写真を削除しないかというと、著作権を侵害されたと嘘の主張をする人間も中にはいる。YouTubeに自分が撮影した動画をアップロードしたら、誰かが著作権違反だと申告したらしくて止められたことがあったが、ああいう嫌がらせというのはよくある。そのたびにレビューしてPublishした写真や動画を削除していたらキリがないし、無駄な経費が多すぎるんだろう、と推測する。もし、虚偽の申告に基づいて写真や動画を削除してしまったら、商品を提供しているコントリビューターに嫌われる。私だったら激怒する。ストックを本格的にやりだすと撮影する時間以上に登録作業に取られる時間のほうが長くなるからね。

そもそもPKTS自体も一応はエージェントで、管理人を含むコントリビューターたちが著作権者なのだから、PKTSがSSに問い合わせる案件ではなく、PKTSに登録している著作権者本人がSSに問い合わせるべき問題なんじゃないの? そのあたりについては記事には何も書いていない。

いずれにせよマイクロストックなんて一部の例外を除いてほとんど儲かっていないし、PKTSの中の人や関係者もそれを知っているから、ライセンシングで稼がないビジネスモデルを採用しているのだろう。

結局これがニュースになったのも、名前を売りたいからじゃない? という疑念が湧く。数万という単位で無断盗用されていないのであれば、実質的な被害額はかなり小さいと思われる。

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Videoblocks (Storyblocks)のCEOからメールが来た

と言ってもコントリビューターみんなに送っているやつです。

要するにいままでは会員の会費だけでサイトを運営して、クリップの売上は全額コントリビューターに支払っていたけど、8/1からは50%になりますって話のようだ。ちょっとこのサイトでも売れだしてきた矢先だから痛い。それでも他のサイトと比べて特に悪い条件じゃないから置いておきますけどね。どうせ登録作業はみんなまとめてコピペでやってるし。

ま、スタートアップのときは大盤振る舞いでコントリビューター(コンテンツ提供者)をたくさん集めて、軌道に乗ったらコミッションレートを変えるっていうのは常道手段だよね。PIXTAもやった。昔はいちいち怒ってたけど、もう最初から織り込み済み。そのうち動画も売上とか貢献度に合わせてコミッションレートが変わる時代が来るだろうから、その時までにカタログを充実させて最高レートをもらえるようにしておかないとね。

https://www.videoblocks.com/portfolio/kritayuga